道議会活動報告
平成18年第2回定例道議会報告 |
2006年7月7日 |
北海道議会 民主党・道民連合議員会 |
幹事長 沢 岡 信 広 |
第2回定例道議会は、6月20日(火)に開会、「自治体財政の充実・強化を求める意見書」、「季節労働者の特例一時金維持に関する意見書」等を採択し、7月7日(金)に閉会した。
代表格質問に三井あき子(旭川市)議員が立ち、赤字転落に至った道財政の厳しい状況、夕張市の再建団体申し出表明など緊迫の度を加える市町村財政、道州制や市町村合併などの地方自治問題などについて質疑を行った。
また、一般質問には、高橋亨(函館市)、北準一(空知支庁)、福原賢孝(檜山支庁)、斉藤博(函館市)、私(沢岡信広・北広島市)の5人が立ち、当面する道政課題、地域課題について、道の取り組みを質した。
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1 主な審議経過について
道の17年度決算が、実質収支ベースで、道政史上初の赤字になる見通しで、今定例会に、18年度予算で、赤字見込額7億5千万円を繰上充用の専決処分をしたことが報告された。また、開会直前に、夕張市が財政再建団体への指定を国に申し出る方針が明らかになった。国が地方財政を切り捨て、負担を地方に転嫁し、道も同様にして、道民や市町村に負担をしわ寄せする状況の中で、地方財政の深刻さを反映するものだ。
この国や道の財政の厳しさが、地域でのマチづくりや医療・福祉、教育などにも影響を広げつつある。会派は、財政論の観点ばかりが押し出された、大規模な合併案で組み立てられた「道市町村合併構想案」、原則として1学年3学級以下の道立高校を再編するという「高校教育に関する新たな指針案」、突然に打ち出された道立中央乳児院の民間移譲などについて論議を展開した。また、国や道の行革路線によって、住民の日々の暮らしに密接な関わりを持つ出先機関までが、地域から姿を消していくことを、くい止めるよう求めた。しかし、知事からは、国の動向あるいは地域の意向を見極めて適切に対処していくとの趣旨の答弁が繰り返されるにとどまり、北海道が直面する課題への責任ある方向性、方針は示されなかった。
夕張市や空知の産炭地の財政危機問題については、国策としての炭鉱開発で形成され、国のエネルギー施策の急展開によっての閉山対策への対処を迫られた地域であることが背景にある。マチを継続し、住民の生活を守ることへの国や道の従来の関わり方、そして今後の対処を含めて、論議を行った。地域が崩壊する瀬戸際に追い込まれるような課題であり、北海道あげての取り組みが必要となっている。
2 一般質問の要旨(○は質問者発言、●は答弁者発言)
■沢 岡 信 広(北広島市)
(1)地方財政問題と市町村合併について ○夕張市の財政破綻問題への対応は、知事自身が要因・背景認識をどのように持つかによって国への要望や道の対応・対策の中身が大きく変わるが、地域事情等の状況認識は。
●産炭地域という特殊な事情の下、人口の急激な減少とともに閉山後の各種施策が期待通りの効果が発揮できなかったことや行政のスリム化が十分図れなかったこと、近年の地方税や交付税減少等から、極めて厳しい財政状況に至ったと認識。
○不適正な起債借受問題の対処や旧産炭地市町の財政問題を検討するため、石炭連絡会議のあり方など再構築を急ぎ、的確な対策を講ずることを明言すべきだ。
●産炭地域の振興に向け、道、市町、経済界が連携して、的確に対応することが必要であり、このための体制づくりについて検討する。
○合併推進に当たっては、苦しい地方財政の実態を抜きにして現実の合併議論の進展はない。市町村の財政状況の実態と組合せ案の関連についての見解は。
●財政格差問題は審議会でも議論されたが、クラスター分析の中には財政要素は含めなかった。財政格差問題は合併協議を進める上で重要な課題であると認識している。
○空知管内を見ると、A〜F案まで旧産炭地の組合せ案がある。財政問題を抱えた現状で道の方針がどのように貫けるのか、地域事情を克服する妙案があるのか。
●財政格差問題について審議会意見や市町村要望を踏まえ市長会や町村会と国に要望しており、今後も北海道の地域実情を国に強く訴える。
○財政問題は、要因は異なっても旧産炭地域以外でも言えることだ。組合せ案の公表と同時に、道の具体的方策の提示がなければ合併議論が進展する保障は全くない。
●関係市町村間で十分議論・調整行うべき。道としても情報提供や必要な助言を行う。
○石狩管内の組合せ案では、当該市町村が困惑している。日常生活圏や産業・経済圏、行政活動区域や地勢的特性をどのように検討し、組合せ案に反映させたのか。特例市への移行をめざした経過と、構想対象外となった千歳市、恵庭市との関係を含めた所見は。
●クラスター分析の結果、石狩市と当別町が最も強い結び付きだったが、石狩市が構想対象を望まなかったため、当別町は新篠津村と共に江別市、北広島市の組合せに含まれた。恵庭市と千歳市は、単独で3万人以上なので対象に含まれなかった。
○同管内組合せ案は道議会各会派で策定した選挙区案に全く逆行したものであり、議会軽視だ。道議会選挙区との関連は全く度外視して、この推進構想案を策定したのか。
●道議選挙区は現行市町村区域に基づき検討されたものであり、構想案は平成21年度までの実現が望ましい市町村の姿として示したもの。
(2)まちづくり三法と中心市街地の活性化について
○中心市街地は地域社会の伝統文化を育み、生活と経済活動の基盤として重要な役割を担ってきたが、法律によって本当に中心市街地は活性するのか、知事の評価は。
●法改正により大規模集客施設など都市機能の拡散抑制や、中心市街地への都市機能の集積の取り組みを通じ、中心市街地の活性化が推進されると期待している。
○これまで用地取得や駐車場確保の課題、定住者増の取り組みや公共交通機関整備、公共施設の集積や住民意識等について指摘してきた。道は法律に関連し「立地に関するガイドライン」「基本方針」を策定したが、これら課題にどう対応するのか。
●市町村が既存の公共事業を最大限活用することや国の支援措置を活用した都市機能の集積、商業振興を図る道の支援事業の活用等で、賑わいの創出をめざすことができる。
○道自身が厳しい財政環境に喘いでいるのに、様々な支援策を講ずることが可能か。対象地域には国・道から両立が難しい相反する政策課題が発信されているほか、道庁内縦割りの弊害も危惧されるが、どのような体制で政策づくり・総合調整を図るのか。
●合併後のまちづくりは地域で十分な協議を行い基本計画を策定するとともに、各地域の声を政策に反映させることも有効。道は合併市町村基本計画の策定に必要な助言を行うなど、適切に対応する。
(3)道警不正経理問題と倶知安警察署等会計職員の公金横領問題について
○公判の中で被告の元会計職員は、白紙請求書を使った手口は多くの部署で行っており、歴任した部署は以前からやっていたと証言したが、道警は証言の裏付けをどのように調査し実態はどうであったのか。結果に関する所見は。
●公安委員会の指導や財務アドバイザーの助言のもと会計監査を行っているが、これまで取引業者から白紙請求書を受け取り水増し請求等の不正事実は把握されていない。今後とも厳正・多面的で実効性ある会計監査と、会計事務のチェックの徹底を図る。
○横領額1342万円で起訴されたが、235万円減額の1107万円の判決だった。横領額の差違に関するこの間の捜査、内部監査のあり方を含めた本部長の見解は。
●正規の支払いに充てられた235万円も元職員が前渡資金口座から払戻すにあたって私的費消と混在しており、横領罪として送致・起訴された。裁判では25万円について私的費消と区分できるとして横領と認定されなかったもので、判断に一部違いがあったが捜査における実態解明が不十分との問題はなかったと考える。
○元職員の証言による内容と具体的手口を見れば、監査対象でない4科目以外についても監査対象とすべきであるが、知事の見解は。
●新たな実名による証言や裏付資料など具体的事実を証するものがあった場合は、必要な対応を行うとした考えは今も変わらない。
○知事は元職員の賠償責任に関し、管理監督責任者に対しても厳しい態度で臨むべきだ。
●賠償審査委員会の審議を経て監査委員に監査請求しており、結果を踏まえて適切に対処する。
<指摘>
(1)地方財政問題と市町村合併について
○夕張市の速やかな再建計画案の策定と国の計画承認に向け、道の積極的な助言と協力を要請する。
○石炭対策連絡会議は構成6団体を含めたオール北海道の観点で、今回の問題を協議する場の再構築を急ぐべきであり、知事の積極的な対応を強く求める。
(2)市町村財政と合併対象組合せ案などについて
○クラスター分析という統計的手法を用いた画一的机上プランで地元を翻弄・混乱させるようでは、道庁の威信低下・不信が増大するばかりだ。自治体や地域住民の声・意見をしっかり受け止め、信頼される重みある仕事をすべきだ。
(3)まちづくり三法と中心市街地の活性化について
○画一的なガイドラインや基本方針で、中心街・中心市街地が活性化するのか疑問であり、社会情勢・地域実情を踏まえた対応・活性化対策であるべきだ。
○道も自治体も財政が逼迫している現状では困難であり、道庁体制も建設部・経済部の縦割りに陥ることなく総合企画部の観点も取り入れた具体的支援策を検討すべきだ。
(4)道警不正経理問題と倶知安警察署等会計職員の公金横領問題について
○知事は今回の問題でも自らの判断を先送りにしたことは、道民の疑問に答えようとしない姿勢であり極めて遺憾だ。
○道警の信頼回復・再生のための対策をないがしろにした結果により発生した事件の責任追及は、当事者は勿論、管理監督責任者に対しても厳しい態度で臨むべきだ。
3 委員会等における主な質疑
(1)常任委員会・特別委員会(06年4月〜7月)、
第二回定例会予算特別委員会
○総務委員会では、私(沢岡信広・北広島市)が6月6日に、平成17年度一般会計決算見込みについて、平成18年度補正予算の専決処分について質疑。
○第二回定例会予算特別委員会(岡田俊之委員長)は、6月30日〜7月5日に開かれ、第1分科会(池田隆一委員長)で須田靖子(札幌市手稲区)議員が道立中央乳児院について、長尾信秀(渡島支庁)議員が自殺予防対策について、障害福祉計画における基盤整備について、津波対策について、佐野法充(札幌市豊平区)議員が地方財政問題について、北方領土問題について、北方領土周辺の自然環境保全等について、私(沢岡信広・北広島市)が夕張市の財政問題について、旧産炭地の財政問題について、市町村財政について、道州制特区推進法案について、市町村合併推進構想案と合併組み合わせについて、国・道の出先機関の今後について、支庁制度改革について、庁内電話の交換業務について、17年度道決算について、18年度及び今後の道財政運営について、第2分科会で小谷毎彦(北見市)議員がコンパクトなまちづくりの基本指針について、まちづくり三法に伴うガイドラインについて、サケ・マスの増殖事業について、ホタテ貝等の二枚貝の貝毒対策について、季節労働者対策について、岡田篤(釧路支庁)議員が遊漁対策について、漁業権に関わる構造改革特区申請について、貝殻島コンブ漁について、高校教育に関する指針について、公立学校の耐震対策について、林大記(札幌市南区)議員が産炭地対策について、外国人研修生の労働実態について、勝部賢志(江別市)議員が新たな高校教育に関する指針案について質疑した。
総括質疑では、佐野議員が北方領土問題等について、地方財政問題等について、私(沢岡信広・北広島市)が地方財政問題等について、地方分権・道州制について、支庁制度改革について、17年度道決算について、今後の道の財政運営について知事に質した。
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4 当面する課題と会派の対応
(1)地方財政問題について
17年度の道決算が、実質収支で道政史上初の赤字となることが明らかになった。道の実質収支は、15年度で102億円など100億円前後の黒字で推移してきたが、16年度決算での黒字幅は、22億円に急減した。赤字幅は、4億2800万円の見込み。
要因は、一つは、全国とはっきりと違っている法人税収の伸び悩みであり、二つには国による地方財政の締め付け、そして過去の借金の重圧が大きい。
税収の伸び悩みについては、高橋知事がアピールしてきたはずの、経済・雇用政策が効果をあげていないこと、そして、単年度で言えば、予算のつじつま合わせのために、全国の景気が回復すれば、道外法人分が伸びるとした見積もりの甘さがある。
この甘さは、交付税についても見られ、「道税収入が減っても、交付税の配分増で埋まる」との従来の発想から抜けきれず、地方財政全体の抑制の中で従来のようには確保が出来なかった。
新型交付税など地方財政をますます縮減しようとする国に対して、@地方交付税の持つ財源調整・財源保障機能の維持強化、Aあいまいさの残る国の後年度負担の明確化などによる地方が抱える借金の“整理”、B東京や首都圏等への税源集中の抜本的見直しなど税収アンバランスの解消、C福祉や医療等での国から地方への一方的な負担転嫁の撤回−などを求めるべきだし、道内においては税財源かん養のための経済・雇用施策を強化すべきなどの論議を行った。
ただ、今回の赤字については、道の財政危機をことさらに描き出しているとの疑念もある。厳しさを打ち出すことで、削減一辺倒の行財政改革路線をさらに強化するとの懸念だ。
市町村合併構想も、支庁制度見直しも、財政論が先に立ち地方分権の理念はまったく後退している。道立高校の再編案も、財政効率論ばかりが押し出されている。道が運営する残り少ない福祉機能である道立中央乳児院の突然の民間移譲方針提示も、道の財政負担軽減の観点からでしかない。子どもを大事にすることを、経済雇用と並ぶ重点と言ってきたはずの知事公約からしても、極めて恵まれない状況に置かれた子どもたちの施設に、財政論の刃が向けられたことは、道の行財政再建のあり方に大きな疑念を抱かせるものだ。
財政が厳しい状況であることへの認識は共有しても、施策・事業の選択のあり方については、地域や住民の立場での論議を今後も重ねていく。
(2)北海道の自治のすがたについて
無理に無理、妥協に妥協を重ねることによって、やっと先の国会で提案にこぎ着けた、「道州制特区推進法案」は、衆院内閣委員会での趣旨説明だけで継続審議になった。会派は、この法案は、道民合意の手続きを経ていない、権限・財源の移譲をなおざりにした真の分権の精神とは程遠い内容といった問題を抱えたものと指摘、論議を重ねてきた。
法案検討の推移を見れば、根底にあるのは、北海道の特性や歴史をかえりみない、北海道切捨て、北海道リストラを目的とする懸念が極めて高いものだ。住民サービスの充実や北海道経済の活性化と自立へのステップなどをめざすべき本来の道州制や、その先行実施とは、およそかけ離れたものになる危惧がある。
知事は、法案について、@地方側が国と対等な立場での協議の場への参画と提案のシステム、A地方の裁量できる交付金−などを評価材料にしているが、このいずれもいまだに、制度的に保証されていない。民主党北海道、報道機関による市町村長へのアンケートでも、法案への評価は極めて低い。道民と論議して、北海道の自治のすがたを作り上げる努力を欠き、道州制の制度設計を政府・与党まかせにしてきたことの反映だ。
同法案と、同時に作業が行われ、先の国会で成立した行政改革推進法では、北海道などが狙い撃ちされた。これによって、地域では開発局の出先、農林水産省の出先、測候所などが、統廃合の危機に直面している。全国一律のサービス維持を約束していたはずの郵便局でも、集配業務等の大幅縮小が表面化した。地域での基盤を支えてきた行政的な機能が失われつつあるのだが、国と同様に財政論からの地域機能の撤退を進めようとする道は、国に強く主張もできなくなっているのが実態だ。
今定例会では、道が示した「市町村合併構想案」も大きな論議になった。道内180市町村のうち、16自治体を対象外、残る164自治体を、@人口規模3万人、A役場間の最大時間距離80分以内−を原則にして43自治体に再編。この結果、道内自治体数を、現行の3分の1の59自治体にするというものだ。旧合併法下での経過を踏まえ、基礎自治体の強化は、合併ありきではなく、広域連携・広域連合などの多様な取り組みを認めるべきとの市町村側の主張があるにもかかわらず、「法で定められたから策定する」として、およそ実現性もないようなケースや、自治体としての機能確保すら危ぶまれるような超巨大自治体も含む構想案を打ち出した。にもかかわらず、質疑に対して、「あくまで地域での論議の叩き台」、「自治体の意向によっては新たな組み合わせも書き込む」といった答弁もあった。市町村の置かれた状況への道の理解が不足しており、中央直結で、国の指示を地域に押し付ける最近の道の典型的な対応となっている。
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